2011.07.27.Wed(19:30)
『第三の男』(1949)監督:キャロル・リード
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この名作を「午前十時の映画祭」でスクリーンで観ることができた。
闇に浮かぶはにかんだようなオーソン・ウェルズの顔、観覧車での対決、地下大下水道での追跡劇、わき目もふらずまっすぐに歩み去るラストシーンでのヴァリ、すべてが印象深く映像として脳裏に残る。
誰が見ても名シーン名カットとわかるだろうと思えるものだ。
映画史に残る作品というのも納得。
内容に比していささか軽快に過ぎるように聞こえるあの有名なテーマもまた素晴らしいね。
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2011.07.27.Wed(19:25)
『修羅の極道 蛇の道』(1998)監督:黒沢清
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黒沢清の秀作としていろんな方から薦められていた作品。
一時劇場公開はされたようだがVシネマとして作られており、低予算かつ主演の二人以外はほぼ無名のキャストとなっている。
観てみるとなるほど確かに傑作。
一切の余分な要素が削ぎ落とされた幽玄の世界がまさに描かれている。
後年の黒沢ホラー同様、一筋縄ではいかない作品であり、変なサブタイトルと哀川翔主演に惑わされて極道ものだと思って借りた人は一体この作品をどう見たのだろうか。
確かにヤクザまがいの存在は出てはくるのだが、とても普通ではない。
哀川翔の表の顔は塾の講師という設定なのだが、その塾がクセモノで、学生のみならず老若男女が集まりひたすらまるで宇宙の法則を解き明かすかのような得体のしれない数式を書き連ねるという授業であり、そんな摩訶不思議な塾の講師を「表の顔」とするには無理があるわけで、かつそこがこの作品のミソともなっている。
『カリスマ』や『回路』等の作品群と同様の目線で楽しめる作品だ。
2011.07.27.Wed(19:20)
『ツイン・ピークス-ローラ・パーマー最期の7日間』(1992)監督:デヴィッド・リンチ
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オレはTV版シリーズ、いったいどこまで見たんだろう。一応最後まで見たのかしら。
当時はWOWWOWに加入していたので、日本での本放送時にリアルタイムで見ていたわけだが、根っからの連ドラ苦手気質でどんなに気にいったドラマでも続けて見ることができないという習性があるため、年末とかにやった一挙放送とかを録画して見たんだったとは思う。
そうであってももう20年ぐらい前のことなわけで、記憶は曖昧。
そんなに間を空けてから、この完結編というにはいささかはぐらかされたような作品をこれだけ今さら観ても、という感はどうしてもつきまとう。
ただ、リンチ節はしっかり楽しめた。
ま、でもこの映画だけ観てもあのシリーズの楽しさは伝わらないわな。
渦巻く人間関係やチェリーパイその他枝葉末節が楽しかったわけで。
しかもドナのキャストが別人になってしまっているのがつくづく残念。こういう展開になっているならなおさらである。
TVシリーズの方を見返したくなったけど、なかなかそんな時間はないなあ。
2011.07.27.Wed(19:15)
『ミッション・インポッシブル』(1996)監督:ブライアン・デ・パルマ
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4が公開される前に見とかないと、と『パイレーツ~』に引き続き予習開始。
んー、まあそれなりに楽しんだんだけど、なんだかデ・パルマっぽくないなあ。
全体的に淡白というか、見せ場のシーンは何カ所かあってその都度きっちり惹きつけられるのだが、あっさりと流れてっちゃって後に残らないみたいな。
これがもしかしてトムクル風味?
周囲のキャストも地味めで、冒頭でチームメンバーがどんどん殺されていくのを観て「このキャストならそうなるよなあ、で、もっとちゃんとしたメジャーなキャストが出てくるんだろこの後」と思ったのだけど、そうでもなかったというw。
往年の『スパイ大作戦』は、もちろん知ってはいるのだけど毎回冒頭ぐらいしか見てなかったなあ。テープが消滅するところまでぐらいw。
だからその意味でもあまり感慨がないし、そもそもテーマ音楽以外たいした関連性もなさそうだ。
2011.07.27.Wed(19:10)
『花嫁吸血魔』(1960)監督:並木鏡太郎
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若き池内淳子が所属映画会社の新東宝の社長である大蔵貢に背いて勝手に結婚引退したのだが、すぐに離婚復帰と相成り、そのペナルティとしてコウモリの化け物を演じさせられたという曰く付きの作品。
その事実の真偽はともかく、僕がこの作品の存在を知った当時は、池内淳子が後年このフィルムを買い取って処分してしまって幻の作品となっているということでスチール写真もほとんど見られない状況で、そんなゲテモノ中のゲテモノの作品、見たくてたまらないが叶わないとされていた。
でも今は簡単に観られるのね。
あっさりDVDが発売されていることを知った時は拍子抜けしたもんであった。
で、今になってやっと実際観てみたわけ。
いきなりおどろおどろしい陰陽師親子のシーンから始まり、ゲテモノ映画には違いないし、ストーリーももちろん荒唐無稽ではあるが普通に見られる範囲。メイク等技術的にも意外とまっとうで、それなりにちゃんとした作品と感じた。
いや、まあ、あくまで予想に比して、なんだけど。
池内自ら演じたとされる毛むくじゃらのコウモリ魔人は、やはりそうと知って見るとなかなか趣き深い。
タイトルの意味は「花嫁が吸血魔」ということではなく「花嫁を吸血する魔人」ということなのね。日本語って難しいw。
2011.07.27.Wed(19:05)
『野獣死すべし』(1980)監督:村川透
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この辺りの作品も全然観てないんだよなあ、とボヤきつつ鑑賞。
前半は割とダラダラ観ていたのだが、後半ガツンとやられた。
いや前半部分も良いのだけども、中盤を過ぎての銀行襲撃シーン以降まったく目が離せなくなった。
優作のキレキレ演技(というと怒る人もいようが)の頂点か。
原作も未読であるが、聞きかじった知識からでも原作のキャラとはまったく違った人物像になっていることは伺い知れる。
理詰めで見ると首を傾げたくなるというか、バランスを崩した作品にも思えるが、それを補って余りある魅力と熱気と迫力に満ちあふれた作品。
傑作でしょう。
2011.07.27.Wed(19:00)
『遊星からの物体X』(1982)監督:ジョン・カーペンター
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カーペンター版。基本中の基本であるが未見であった。どうだまいったか!
後世に影響を与えすぎて今となってはそれほど驚くこともないように思える「それ」であるが、CGでは感じられないような味があるなあ。
ちょうど良い感じに気色悪くてGOOD。
しかしなんといってもこの映画の主役は犬ではないか。
前半にしか出て来ないのが残念だが。
ストーリーとしては淡々と進む感じが、閉鎖された極寒の空間という世界観とマッチしていていとおかし。
2011.07.15.Fri(19:20)
『ばかもの』(2010)監督:金子修介
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主演二人の好演が光る秀作。
内田有紀は積極的で強気でありつつもどこか心に殻を被った女性像を演じる。
濃密なラブシーンも挟みつつ、後半は事故で片腕を失い、とある理由で髪の毛も白髪になってしまっているという壮絶な役だ。
ニヒルでありつつ女性の可愛さも感じさせる、原作とはまた少し違った魅力的なキャラクターとなっている。
成宮寛貴は朴訥で純粋な青年として登場し、恋に溺れ、女性に捨てられ、生活が荒んでアル中にまで陥っていくという過程を緻密に演じている。
うっかり観る直前に原作を先に読んでしまったので、後半の一部を除いてかなり忠実に作られたこの映画の中盤部の、その展開を観るのが辛かった程だ。
決定的な何かが描かれるというわけでもないのだが、いろいろあったこの二人を優しく包むような柔らかい光に照らされたラストシーンがそこはかとなく美しい。
2011.07.15.Fri(19:15)
『グリーン・ホーネット』(2011)監督:ミシェル・ゴンドリー
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おいおい、なんだよ、こういう話なら早く言ってよw。
いやもっと朴訥でダサイヒーローものか、と思ってたんだけど。
いやいや、確かにある種朴訥でダサイんだけど、そこを確信犯的にきっちり描いてカッコよろし。
どっちかというと『キック・アス』なんかと近いノリで観られると思うんだけど、だれもそういう評価してないなあ。
今年年頭のビッグタイトルの一つだった筈だけど、あまり評判にならなかったね。
そういう僕もしっかりスルーしてたわけだけど、観てみたらいやなかなか個人的には好物です。
この映画におけるグリーン・ホーネットはストレートな意味でクレージーなヒーローである。
病んだヒーローなんてもんじゃない。
ストーリーの進行よりも主人公コンビの確執(いちゃつき、とも云う)を丁寧に描く歪んだ演出、キライじゃないよ。
話がつまらないとの評価が散見され、確かにお話優先で観ようとすると途中でグダグダになってるように感じるのだけど、お話描こうとしてないよ、これ。
BDに未公開映像が30分ぐらい入っててそれ観ると、メチャクチャ切ってるな、これ。
ある種お話ぶった切ってないか?
この金がかかってそうなアクションシーン切って、あのコンビのケンカシーン延々と残すかね、とも思ってしまうのだが、もちろんそこがこの映画の魅力でもある。
スルーした方は一度(あまり期待せずに)ご覧あれ。思わぬ拾いもの。
2011.07.15.Fri(19:10)
『君と歩こう』(2009)監督:石井裕也
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高校生と女教師が駆け落ちするところから始まるこの作品、他の石井監督作同様ひとくちで説明できない。
要約したところでこの映画の何十分の一を伝えることにしかならない。
主演の二人をはじめとして演者一人一人が実に「ヘン」で、かつ魅力的。
キャスティング云々ではなくやはり演出が特異なのだと思われる。
会話のひとつひとつ、表情、動き、「味がある」んだよなあ。
味があるので、いつまでも反芻していたくなる。
映画界のよっちゃんイカ!