2011.12.09.Fri(19:25)
『スーパーマン』(1978)監督:リチャード・ドナー
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なんとも初見。
公開当時、何故かスーパーマンシリーズについては全然観に行かなかったんだよなあ。
当時はこの手の大作ものは結構観に行っていたのだけど。
「月刊スーパーマン」とかも買っていたのにも関わらず、だ。
何故だったかは覚えていない。
ただ、だから観ていないにも関わらず内容はかなり知っている。
いざ観てみるとほぼ記憶していた通りであったものの、やっと観ることができたという感激よりも間延びした退屈な展開に寝落ちすること数度。
いったい何日がかりでDVDを観終えたのかという有様。
それでもロイス・レーンとの夜間飛行をはじめとして印象的と思ったシーンは多々あるわけだが、特に敵の扱いとかお話の展開に不満が残る。レックス・ ルーサーがなあ。
しかしなんといっても素晴らしいのはジョン・ウィリアムスの音楽。これだけは認めないわけにはいかない。
うーん、続編も観た上で、ちゃんとまた見なおしてみよう。
2011.12.09.Fri(19:20)
『イップ・マン 葉問』(2010)監督:ウィルソン・イップ
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前半のVSサモ・ハン戦を嚆矢とする中国武闘家同士の争いから後半のVS外国人権力&武術という流れは前作『序章』をほぼ踏襲しているが、ドラマツルギーとしては前作の方が上だろうか。
ま、憎まれ役の差かもしれないけどね。日本人役のアイツ憎たらしかったからなあ。
今回は敵役が欧米人ということで憎たらしさがやや甘いというか絵空事に感じてしまった。
そこら辺のところで国粋主義っぽい臭いがいささか鼻につくのだが、ラストでは貴賤の別なしとうまくまとめている。
画面上では、ドニー・イェンの流れるような動きにただ見とれてしまう。
2011.12.09.Fri(19:15)
『ミツバチのささやき』(1973)監督:ビクトル・エリセ
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おそらく日本公開時に劇場で観て以来。
いや観た筈なんだけども内容をすっかり忘れているのに驚く。
ドン・ホセとかヘンな所は覚えてたんだけどなあ。あ、『フランケンシュタイン』云々という基本的な構成も覚えてはいる。
見なおしてみて名画であるという世評に異論はなく、セリフがあんなに少ないのにも関わらず美しく陰影たっぷりの画面は雄弁であった。
以上。いやあオレもアナ・トレントにかくまわれたい! って感想じゃダメでしょーか?
2011.12.09.Fri(19:10)
『恋の罪』(2011)監督:園子温

いやなんとも「圧」が高い!
画面から繰り出されるパワーをヒシヒシと感じさせられる。
相変わらず説明不足というか語り口は粗雑だが、特に終盤にかけての吸引力は凄まじい。
前半は観てて面白いけどもこれはひょっとして僕の好きな映画ではないかも、と思いかけていたのだが、美津子の家で母(大方斐紗子。圧倒的!)が出てきたあたりからの画面の「圧」にもう強引にねじ伏せられた感じ。
ただ後で冷静に振り返ると、水野美紀の扱いをどう捉えるかで作品の評価がわれるかもという気はした。
僕自身はいささか物足りない。
冨樫真、神楽坂恵の事件と絡んでいるような絡んでいないような、ま、絡んではいるんだけど、もう少しそこの『ツインピークス』でいえばクーパーの物語が観たかったなあ。
2011.12.09.Fri(19:05)
『マネーボール』(2011)監督:ベネット・ミラー
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野球ファン、というか野球にパワーバランスマネジメントゲームの魅力を見いだしている人、つまり球団経営に興味がある人もしくはベスプレ(ゲーム「ベストプレープロ野球」)ファン必見。
ブラピとジョナ・ヒルのコンビネー ションも良く、筋運びに派手さはないものの彼らの演技の魅力だけでも次第に引き込まれる。
とはいっても脚本も秀逸といえよう。
筋運びの大きなうねりで感動がもたらされるのではなく、場面場面の切り取り方が秀逸でその集積が深い印象を与える。
ゲームそのもののシーンは最小限だし、マウンドやフィールドはほとんど映し出されないものの、「野球」というものをヒシヒシと感じることができる映画。
それはブラッド・ピットの立ち居振る舞いや服装、顔つきなどからも如実に感じ取ることができる。「野球人」だなあーって思ったもの。
その意味では「野球」にまったく興味のない人がどう観るか。
ある種普遍的なテーマを扱っているから充分楽しめるとしたいところだが、意外にハードルが高いのではないか。
近年ほとんど野球と接点のない僕でも、集中して楽しんでいたひと頃があったからこそこの映画を楽しめたような気がしている。
2011.12.09.Fri(19:00)
『紀子の食卓』(2006)監督:園子温
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前提とされている作品『自殺サークル』(2002)よりも断然作品としては進化している。
ただ相変わらず丁寧な語り口とはいえず、細部はわからないことだらけである。
それでいて終盤まで力技で引っ張られるというのは、近年の作品にも通じるこの監督の特徴のようなもの。
ここにおいて既に『愛のむきだし』に至る方法論が確立されつつあり、そこからエンタメ要素を省いたものともいえる。
2011.12.02.Fri(19:30)
『ハラがコレなんで』(2011)監督:石井裕也

役者に独特の芝居をさせる石井節は健在なれど、自主映画色は薄れ普通の映画っぽくなってきたなあ、などと一瞬でも思った私が間違っていたと途中で気付く。いや、全然「普通の」映画なんかじゃなかった。
「粋」という言葉が今回のキータームなんだが、主人公のセリフとしてガンガン出てくるのはいいがその使い方が、オッサンとしてはひっかかる。
ひっかかるというのはつまり、そんなことまで粋だとかいうのはヘンじゃないの? とか、粋だ粋だとなんどもしつこく言うのは粋じゃないんじゃないの? とかそういうこと。
だけど途中からそんなこともどうでもよくなってくる。いやもう大丈夫オッケーです。
元気でるよ、この映画は。
クヨクヨしてる人がいたらとりあえず観て欲しい。
バカバカしいと思えばそれまでだし、仲里依紗演ずる光子の言動を見て少しでも気持ちがラクになれば儲けもん。
相変わらず映画としてはほとんどリアリティのないドタバタ騒ぎが描かれているのだが、そこから何事かを感じとらせるのがこの監督の本領。
特に終盤のカオス的なドタバタは感動的ですらある。
仲里依紗はやっぱ大物感あるし、石井組の常連、稲川実代子が余人に真似できぬ迫力ある老婆を演じて大活躍。
石橋凌も新境地というか実になんとも愛らしいオヤジを演じている。
全石井監督長編作品を観てこちらが慣れてきたせいもあるのか、『川の底からこんにちは』ほどのストレンジさは感じなかったもののやっぱヘンな映画だよ。
どうなってるかちょっと心配していたのだが観て良かった。いい作品になってると思う。
2011.12.02.Fri(19:25)
『ランゴ』(2011)監督:ゴア・ヴァービンスキー
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質の高いCGアニメーションを堪能できると同時にそのキャラクター造型が個人的にはツボ。
フィギュアとかめちゃ欲しい!
西部劇映画のみに限らず様々な引用がなされているようだがそれに気づかずともしっかり楽しめる物語展開。
でも「西部の精霊」の登場にはニヤリとさせられる。
CGアニメとはいえ、子供には少しハードルが高いかもしれない。でもこういうの見て育って欲しいよなあ、とも思う。
観ている間、すごく楽しめる快作! 見終わった後の爽快感も心地よい。
ただ後には残らないかな....。 けど繰り返し観ても飽きない作品になっていると思う。
スクリーンで観てよかった。
2011.12.02.Fri(19:20)
『ブルー・バレンタイン』(2010)監督:デレク・シアンフランセ
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一組の夫婦が崩壊に至る一日をその幸福な馴れ初めの時代のカットを差し挟みながら描く。
どのようにして彼らの愛は冷え切ったのかという部分は直接には語られていないのだが、「幸福な」と書いたその馴れ初めの場面のひとつひとつに崩壊に至る萌芽は隠されているように思う。
その意味でもかなりシビアな作りになっており、単にあの頃は良かった的な過去のシーンのインサートではなく、当時の愛を交わすシーンでもその未来が影を落とし、観ていて心が和むようなことはない。
彼らが最後に愛を交わそうとしたホテルの部屋の名が「未来の部屋」であるという皮肉。
個人的には、一番苦かったのは夫婦が冷え切った云々ではなく、彼らの子供の存在を絡ませてるところかなあ。
ラストシーンをあんな形で終わらせられるととても辛いものが。
2011.12.02.Fri(19:15)
『ばけもの模様』(2007)監督:石井裕也
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石井裕也監督作の中でももっとも「ストレート」に「異常」な作品であろうか。
子供を亡くしたことにより関係が損なわれていく夫婦。妻は精神的均衡も失ったのか不思議な浮遊感のある言動を繰り返す。
仕事に没頭することで現実から目を背けようとする夫はある日とつぜん職場の部下と駆け落ち。
一方、妻はメロンパン販売車でメロンのかぶり物を被って客引きをする男にひと目ぼれされ、彼を翻弄するかのように不思議な旅に出る。
そして二組は....。
という話なんだが、そうした筋自体には意味があるようなないような。
あたふたとした小芝居やリアリズムのかけらもない状況が積み重ねられていくにも関わらず、そこからなにかしらの「実感」のようなものを感じとれてしまうのが、この監督の力量。
石井組常連の桂都んぼ氏がメロンパンマンとして大活躍の巻で氏のファンとしては堪能。(といっても本業は現時点で見たことないんだけど)
同じく常連の稲川美代子もメロン販売車のおばちゃんとして都んぼ氏と絶妙のコンビネーションで楽しませてくれる。