2011.05.18.Wed(21:05)
『ブラック・スワン』(2010)監督:ダーレン・アロノフスキー
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話題作。
おいおいそこまで見せちゃっていいのかよ、という予告編通りではあるのだが、それから想像した内容とは少し異なっていた。
往年の少女漫画におけるバレエものにあるような「プリマドンナが継母やライバルに妬まれてイジメにあい云々」という内容のイメージを勝手に膨らませていたのだが、その枠組みを上手く慣用しつつ(実際そうみえる描写もいくつも垣間見える)、実は彼女に誰も嫌がらせをしてないし妬んでもいない(かもしれない)というところがミソかと。
「可我見」であるところの鏡のカットの多用によってその意図はある意味明らかなのだが、それ以外にも、主人公を抑圧する存在である母や主役の座を狙うかのようにみえるライバルという他者が実は自分の投影にほかならないのでは、と思わせる演出が散見される。
本来ナタリー・ポートマンとそれほど似ているとは思えない、母役のバーバラ・ハーシーやライバル役のミラ・キュニスを一瞬ハッとするほどナタリーに見紛うカットが意識的に挿入されているのだ。
そのようなカットや演出がいろいろな先行作から慣用されているという指摘はあちこちで見かけたが、心理的なサスペンス要素を持続させつつ、誰もが知る(舞台はちゃんと観たことない人でも、おおまかなストーリーや曲自体はお馴染みの)「白鳥の湖」という名作バレエをうまく絡めて2時間を飽きさせずに観させる構成とラストシーンに至る盛り上げの巧さがこの映画の見どころであろう。
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