2011.05.31.Tue(19:20)
『アメリカの夜』(1973)監督:フランソワ・トリュフォー
![]() | 映画に愛をこめて アメリカの夜 特別版 [DVD] (2008/10/08) ジャクリーン・ビセット、ジャン=ピエール・オーモン 他 商品詳細を見る |
すべては映画のために。
あるいは、すべて映画のせい。
そんな映画である。
ジャクリーン・ビセットの美しさを惚れ惚れと眺め、凛としていた彼女が終盤....ってところがいいね。
トリュフォー自らが演ずる監督の新作映画撮影現場が舞台となっており、その撮影風景のさまざまなカットも興味深いし、そこで起きるひとつひとつのエピソードもなかなか面白いんだな。セリフを覚えられない中堅女優の話とか。
いわゆるメタ映画であり、タイトル(夜の場面を昼に撮影する技法のことをいうとのこと。フィルターを使ったりするらしい)の含意にみられる「現実を虚構で覆い隠す」なんてことを大上段に構えることなく、さりげなく描かれているところに好感を持った。
ラストでは、とある現実で起きた事件のせいでひとつのシーンを取り直すことになり、そのシーンを雪のセットに変えるという手法が選択される。
当然、現実に雪を降らすわけにもいかず、セットには大量の泡が散布されるのだが、それはスクリーンのこちら側からはまったく雪にしかみえない。
まさに「現実を虚構で多い隠した」わけだが、あれこれ難しく考えずとも楽しい映画として観ることができるので是非。
スポンサーサイト
Comment
Trackback
| HOME |