2011.06.30.Thu(19:00)
『SUPER8/スーパーエイト』(2011)監督:J.J.エイブラムス
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公開直前になってグイグイと評判があがって、事前に観た人の一部がお祭り状態になったりしていたので、急に期待値があがって公開日のレイトショーに駆けつけた。
チラシ見てた段階では『スカイライン』と同じ括りに入れてた程度で、そんなに積極的に見るつもりはなかったんだけども。
派手にネタバレするつもりはないけど、できるだけ素の状態で観た方がいいと思うので(「スピルバーグのあれとかこれとかと似ている」とかの前情報も不要)、観るつもりの方はここまででサッサとご覧になりに行ってちょうだい。
幾つか留保をつけたいところもなくはないが、とにかくトップレベルで楽しめる映画には間違いない。オススメ品です。
で、開巻、冒頭の数分で物語の前提状況や登場人物をまったく説明っぽくなく描き、無駄なく本筋に導く手際の良さ。
お見事、と感心していたところで、場面変わっていきなりかかるELOの曲w。
個人的には相当前のめりにならざるを得ない。
これに続いて劇中でかかる曲が80年代前夜、70年代末のヒット曲ばかりで、そこで時代設定がわかる寸法ともなっている。
しばらく8ミリ映画制作に夢中な中学生の日常が描かれ、ノスタルジックな雰囲気にも浸っていると、いきなりこの映画が描く事件の核心、まっただ中に引きずり込まれる。
このシーンが相当なインパクト。ここは大画面で見ておきたい。
後はもう「映画を観る喜び」に柔らかく包まれつつ最後まで楽しんだ。
スピルバーグの過去作を想起させられるのは事実だけど、必要以上にあまり結びつけなくてもとも思ったり。
『E.T.』とかを想起しながら観てしまうと、終盤違和感につきまとわれることになる。
ま、監督であるエイブラムスが製作者であるスピルバーグを意識していたことは間違いないだろうが、もちろん別にリメイクを作るつもりもなかっただろう。
どちらかというとスピルバーグ以外のこの系統のあれこれの映画も含めたリミックスになっているような。
個人的にはエイリアンの習性や行動等には、ボン・ジュノの『グエムル ~漢江の怪物』を重ねて観てしまったところがある。
肝心のエイブラムス製作の『クローバー・フィールド』は未見なんであれだけど。
あとは、過去に自主映画撮った経験がある人間にはマスト。
とりわけそれが8ミリであり、さらに80年前後のこの時代のことであったならもう感涙もの。
ま、それは僕なんだけどw。
高校時代、学祭のたびにクラスメイトとワチャワチャしながら8ミリ映画撮ってたからなあ。
恋心を抱いたとまではいかないけども、ちょっと可愛い女の子にゾンビメイクならぬ悪魔メイクを施してトキメイてた経験まである。
監督自身の経験でもあろうし、タイトルともなっているだけあって、やはりこの「8ミリ映画」という題材がこの映画の中核をなしているように思う。
ここを背景としてしか捉えないと、見終わって肩透かしを喰ったような気分になってしまうかもしれない。
アリスがカメラの前での初演技をするシーン、ゾンビメイクを施されてジョーにおどけて抱きつくシーン、ジョーが母親の生前の姿をフィルムの中に認めるシーン、そしてタイトルロールのおまけ、この映画の良いシーンのほとんどはそこに詰まっているのだから。
全体的にテンポも良く、いい具合の時間配分ではあると思うものの、その一方で、あと10分ぐらいなら増やしてもう少し丁寧に描いて欲しかった部分もあったりする。
例えば親父どおしの確執の部分とかね。さらっと説明はされてるんだけど、ここにもう少し深みを加えてくれてたらクライマックスがもっと盛り上がれたような気がする。
あとはラストのオマケ。いい味出してて好きなんだけど、本編の伏線回収的な部分があっても良かったかなあ、と。(あったけど俺が気付いてなかっただけだったりしてw。)
ま、この辺は余計なお世話かな。
最後にどうでもいい話。
主人公の父役のカイル・チャンドラーはなかなかシブくてカッコいい役どころだったが、誰か日本人俳優に似てるなあ、とずっと思って観ていて思い出せなかった。で、あとで船越英一郎かな、と思い至ったらもう、そうとしか見えない。
アリスのエル・ファニングはジョディ・フォスターをちょっと思い起こした。
それと、デブちゃん監督と主人公の関係を一義的な描き方にしてないところなんかかなり好き。
親友であり、それでいて力関係もあり、そして恋敵にもなる。それらが混然と並立している。
いやそういうもんでしょ、人間関係なんて。
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