2011.11.15.Tue(21:14)
『電人ザボーガー』(2011)監督:井口昇

電人ザボーガーには実は思い入れが強い。
子供の頃、真剣にリアルタイムで見ていた特撮ものの中でも最後期の方に近かったが毎週楽しみにしていたし、ビープロ作品の独特の雰囲気も大好きで、毎号買っていた雑誌「冒険王」で特集記事や漫画も一生懸命読んでた。
再放送は名古屋では後年一回あったかなあ。なんか朝にやってたような気もする。(それは本放送の最後あたりだったかもしれない。調べてみたら枠移動が繰り返されていたようだ。)
以来、ビデオとかでも一度も見てない。
その状態のまま、ひさびさの再会を楽しみに劇場に出かけた。
同じような思いを抱いてやってきたであろう同世代のオヤジ達のみでなく、若い男女等も含めて劇場はほぼ満席。
とはいえ井口監督のこと、単なるリメイクではあるまいと思って臨んだのだが、その予想はいい意味で裏切られたといえよう。
この作品、パロディのようでいて実は結構忠実なリメイクであり、また、オリジナルのテイストを細かく維持しているようでいてそこかしこに巧みに井口監督テイストを散りばめているという絶妙なバランスの上に成り立っており、そこから醸し出される魅力がなんとも言いようがない不思議な感動を与えてくれた。
オリジナルのキャラやアイテムもふんだんに出てくるので旧来のファンにはたまらんものがある一方、オリジナルの(ビープロ特有の)安っぽさを生かしつつも、「やや トランスフォーマー状態」ともいえるバトルシーンがあったり、「○○化」した女子アンドロイドの登場とか意外にもリッチな特撮表現が使われており、現代の新しいファンの目をも楽しませてくれる。
総じて観れば、井口作品特有の過剰なものがすべて作品内で回収されており、意外とスッキリした観後感。
役者陣の熱演と監督の演出のベクトルがガッチリと拮抗し、竹中直人のこの種の作品に出るときの例のワルノリ気味の怪演すら作品世界からまったく浮いていないというのがその一例であろう。
大門役の老若二人ももちろん良かったし。
そして藤山律子に少年期のリビドーを刺激された身にとっては、ミスボーグの山崎真実は、どストライクであった。好演!
エンドロールを迎えても誰一人席を立たなかったというのを見たのは久々だな。愛すべき傑作。
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