2011.12.02.Fri(19:30)
『ハラがコレなんで』(2011)監督:石井裕也

役者に独特の芝居をさせる石井節は健在なれど、自主映画色は薄れ普通の映画っぽくなってきたなあ、などと一瞬でも思った私が間違っていたと途中で気付く。いや、全然「普通の」映画なんかじゃなかった。
「粋」という言葉が今回のキータームなんだが、主人公のセリフとしてガンガン出てくるのはいいがその使い方が、オッサンとしてはひっかかる。
ひっかかるというのはつまり、そんなことまで粋だとかいうのはヘンじゃないの? とか、粋だ粋だとなんどもしつこく言うのは粋じゃないんじゃないの? とかそういうこと。
だけど途中からそんなこともどうでもよくなってくる。いやもう大丈夫オッケーです。
元気でるよ、この映画は。
クヨクヨしてる人がいたらとりあえず観て欲しい。
バカバカしいと思えばそれまでだし、仲里依紗演ずる光子の言動を見て少しでも気持ちがラクになれば儲けもん。
相変わらず映画としてはほとんどリアリティのないドタバタ騒ぎが描かれているのだが、そこから何事かを感じとらせるのがこの監督の本領。
特に終盤のカオス的なドタバタは感動的ですらある。
仲里依紗はやっぱ大物感あるし、石井組の常連、稲川実代子が余人に真似できぬ迫力ある老婆を演じて大活躍。
石橋凌も新境地というか実になんとも愛らしいオヤジを演じている。
全石井監督長編作品を観てこちらが慣れてきたせいもあるのか、『川の底からこんにちは』ほどのストレンジさは感じなかったもののやっぱヘンな映画だよ。
どうなってるかちょっと心配していたのだが観て良かった。いい作品になってると思う。
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