2010.06.24.Thu(00:00)
『Dolls』(2002)監督:北野武
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ただでさえセリフが少なめの北野映画において、愛が語られる時にその傾向はさらに顕著となる。
「あの夏、いちばん静かな海」はそれを極端な形(主人公二人が聾唖者)という形で出してきていたが、この映画でも登場人物はおしなべて無口だ。
セリフが飛び交う「アウトレイジ」を見た後では、ほとんど無言劇とさえ思えるほど。
(唯一饒舌なのがホーキング青山というのにはなにか意味があるのか。)
ここまでの北野映画の多くのように、登場人物の何人かは死に至るのだが、これまでの作品での印象に比べ、その死の瞬間が描かれていない。
その直前のカットとか死んだ後の状態の描写はあるのだが、いつもこれ見よがしに呈示されている撃たれたり刺されたり事故ったりする瞬間は、この映画では隠蔽されている。
その代わり、いつも以上に絵画的というか、
色彩豊かな四季の風景を効果的に使った映像美が追求されている。
出だしは少し苦手かも、と思ったけれど結局惹き込まれて見終えた。
菅野美穂の演技は秀逸ではあったが、あれで全編通されるとキツイものがあるので、他のエピソードとのバランスが程良かった。
三橋達也にも感じ入ったし、松原智恵子はまさにぴったりの役柄。若い時代を演じた大家由祐子との整合性は少々気になったが。
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